本能寺ホテル | 東海雜記

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主に読書日記

「お館様は、冷徹非道で鬼のようなお方なのだ」 ―森蘭丸(演・濱田岳)

 

 

上映時間   119分
製作国    2016年 日本

 

<内容>

人生をふわふわと流されるまま生きている女性主人公が、本能寺の変前日の本能寺にタイムスリップする映画。

 

<感想>

本能寺の変、タイムスリップ、で連想したのが眉村卓『とらえられたスクールバス』。アニメ映画化に際し『時空の旅人』という題に変更されたのですが、自分は元のタイトルの方が素朴で好きです。

 

印象に残ったのは主人公(綾瀬はるか)と、ホテル支配人(風間杜夫)とのやり取り。相手が聞いてくれている、わかっていると思い込んで話す綾瀬さんと、実はちっとも聞いていない、何を言っているのかわからないのに受ける風間さん。一方通行なのに成立している不思議なやり取りがユーモラスでした。

 

信長(堤真一)の描き方は僕にはしっくりこず、作品全体としての面白さを減じてしまったと感じました。けれども映画(ドラマ、小説、芝居も)は歴史ドキュメンタリーじゃないんだから、いいのだ、と反省。そもそも歴史解釈や人物像も、あくまで学説なので、これから先どうなるかわかりませんし。

濱田岳さんの森蘭丸を見た綾瀬さんの「イメージが違う」というセリフも、パターン化された歴史人物像を皮肉っているのかもしれません。

その濱田蘭丸は、鬼上司に側仕え、胃痛に悩む、現代のサラリーマン的な人物。同じようなシュチュエーションのCMに出ているだけに、クスリとさせられます(オヤジギャクじゃないですよ)。

*冒頭に掲げたセリフは記憶に頼ってるので、細部は異なっているかもしれません。

そんな蘭丸ですが、ラストはかっこよかったですよ。もちろん信長も。

 

本能寺の変の前日、当日に絞った「タイムスリップ」も、時と場所を制約して、主人公二人(綾瀬さんと堤さん)の人物を描き込む上で有効だと思いました。

反面、平成の現代の場面では京都のあちこちを描いています。

 

最後のシーンでは京都の過去と現代の画像が流れてゆくのですが、これは綾瀬さんも出演していたテレビドラマ『JIN-仁』のオープニングを彷彿させます。